「カッコ好くお金をつかう」という富の再分配

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 今週は社会的な格差拡大の問題にテーマを絞ってきた。 もちろん、われわれ長期投資家は問題をヒステリックに追及したり、それをああだこうだ議論するのには興味ない。

 問題だと思うんなら、それを解消する方法を考え行動することだ。 格差拡大も、役所的な発想で収入の低い人々に金銭面での補助をするだけが能ではない。

 どうしたら、頑張ればいくらでも良くなれるという方向で、希望とやる気を持ってもらうかだ。 人間は、ただ単純に援助を受けて生き長らえていくよりも、自助自立の気概と誇りをもって生活していく方が、よほどステキである。

 本論に入ろう。 働きづめに働いても、収入は低く厳しい生活を余儀なくさせられている。 そういった人々に明るい見通しを持ってもらうには、これまでとは違った職場をどんどんつくっていくことだ。

 どんな職場か? 企業にしても役所の事業にしても、コストを切り下げていくことは至上命題である。 したがって、人件費はそうそう上げられない。 つまり、給料は低い。

 そういうことなら、社会的に大きな意義がある事業で、なおかつ儲けなくてもいい仕組みを考え出せばいい。 儲けなくてもいい仕組みとは、その事業への資金の出し手を寄付にすることだ。

 社会的な事業に情熱を燃やす人たちには、「そういうことなら、少しでもお手伝いしたい」と思えるような活動を、透明性高く続けてもらう。 そういった社会事業に、世の中から寄付を募っていく。

 この流れを広く太くしていけば、いくらでも社会性の高い職場をつくっていける。 そういった職場ならば、そこで働く人たちにも誇りをもって生きていける水準の給料を支払うのは当然のこと。 もちろん、就業時間なども働き手の希望を十分に反映していい。

 そういった雇用をどんどん増やしていくには、寄付の文化を高めていくに如かずである。 そこで、さわかみグループでは「お金をまわそう基金」をつくり、公益財団の認可を取ったというわけ。

 お金をまわそう基金では広く一般から寄付を集め、それを誰もが社会的に意義あると納得のいく活動にまわさせてもらう。 寄付していただく方々には、税の控除が受けられることもあり、より積極的にお金を出そうという気になってもらえる。

 本格的な活動を始めたばかりだが、お金をまわろう基金の事業がどんどん大きくなっていけば、それだけ富の再分配に人々の善意を盛り込める。

 オペラ財団をつくったのも、まったく同じ考えによる。 オペラという心の贅沢や、寄付によって気持ちの満足を高めるといった方向で、「カッコ好くお金をつかう」文化を高めていくのだ。

 それが、そのまま成熟経済活性化の大きな下支え要因となっていくし、格差などという嫌な問題も人々の善意でもって解消していける。

 こう書いてくると、青臭く楽観的に過ぎると思われるかもしれない。 だが、われわれ長期投資家にとっては、本格的な長期投資の先にはっきり見えてくる、次のステージに過ぎない。

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