慌てて売って、慌てて買い戻して

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 世の投資家の多くはマーケットにどう対応していくかで汲々としている。 これは個人も機関投資家も同じことで、慌てて売ったり買い戻したりのドタバタを繰り返している。

 先週は米国大統領選挙でトランプ氏の急速な追い上げをみて、マーケットは大幅に下げた。 それは多くの投資家が売りを急いだからのこと。

 今週に入ってクリントン氏が逃げ切りそうな気配が出てきたとみるや、大慌てで買い戻しに入っている。 忙しいこと、この上もない。

 このようなドタバタはディーリングの世界のものであって、投資ではない。 マーケットでの価格変動にどう対応し、いかに値ざやを稼いでいくかを仕事としている人たちは、ディーリングの世界に生きている。 それはそれでいい。

 投資家はディーリングとは違う。 どうしてもマーケットが気になるとしても、投資家はマーケットの動向を先読みして、早め早めに手を打っていくことが求められる。 決して、マーケットにどっぷり浸かって、価格変動にドッタンバッタンするのではない。

 機関投資家に求められるのは、せいぜいこのレベルの投資である。 なにしろ、お金を預けてくれている顧客サイドから頻繁に、マーケットに対しどう上手く行動しているかを問われ続けるから、それも仕方がないとしよう。

 もっとレベルの高いというか、本物の投資とは、「リスクを取りに行く」ことである。 昔から言い古されている、「虎穴にいらずんば虎児を得ず」である。

 マーケットが大混乱に陥って、多くの投資家が逃げ惑う中を、価値あるものだけを黙って拾い続ける作業が投資である。 

 横からみていると、暴落の局面であえて買っているから、とんでもないリスクを取っているかに見える。 われわれ筋金入りの投資家からすると、宝拾いをしているだけのこと。

 世の中が落ち着いてくると、宝物の価値はすぐさま見直される。 そして、その価値を買おうとする買いが入ってくる。 ずっと安値でたっぷり買い仕込んでいた、われわれ本物の投資家にとっては、大きな含み益がもたらされることになる。

 投資なんて、これだけのこと。 米国の大統領選挙に限らず、これからもマーケットが大きく崩れることは、いくらでもあり得る。 その都度、本物の投資家かどうかが問われ続けるのだ。

 いまから明日まで山形へ出張するので、明日の長期投資家日記はお休みです。

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