長い道のり、それが文化というものか

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 熊本城修復応援オペラコンサートから帰ってきた。 気分的には、ひとつし終えたという満足感と、ウーンまだまだといった未達成感とが入り混じっている。

 2日間やって、初日は雨で中止。 せっかくお出でいただいた皆さんのためにと、うちの歌手たちが3曲歌ってくれた。 こういった気持ちは大事にしたいもの。

 昨日は秋晴れで、赤とんぼも風に乗るかのように舞い遊び、文化の秋というのに絶好の日和となってくれた。 おかげ様で、歌手たちも初日の分までエネルギーをぶちまけた、すごい歌唱となった。

 ふたつほど、今後の課題が残った。 ひとつは小さな方で、熊本市の方で地元の演奏家も使ってほしいという提案があり、それを9人の歌手たちの間に組み込んだ。

 残念ながら、それが全体のレベル感を大きく下げてしまった。 当初、うちの歌手たちの歌が終わった後、次の映画上映の間に演奏してもらおうと考えていたが、せっかくだからオペラ歌曲の間にということになった。

 それが結果として、会場の皆さんにとっては中途半端な印象となってしまったきらいがある。 やはり、こちらの持ち時間は最高レベルの歌唱で、これでもかこれでもかと会場を満たすべきである。

 もうひとつは、もっと根本的なこと。 当初、市との打ち合わせで2000名はおろか、3000~5000名はオペラコンサートに集ってもらう予定だった。

 ところが、ふたを開けてみれば400名にも満たない来場者で終わってしまった。 これは、ひとえに市の方の広報が出遅れたことによる。 こちらが声をかけた方々はみな来てくれたが、しょせん東京からの声掛けには限界がある。

 ちょうど熊本城の周りでは、「水明かり祭り」という大きなイベントがあり、多くの人出で賑わう。 その一部の人たちがオペラコンサートに来てくれるだけでも、数1000人にはなるという計算だった。

 それなのに来場者が少なかったのは、熊本市の対応のまずさというよりも、ずっと根本的な問題である。 ひと言でいってしまえば、さわかみオペラ財団の活動に対する世の中の認識がまだまだ弱いということ。

 いつも、すごい感動を与えてくれるといった、さわかみオペラ財団の評判がもっともっと広まれば、うちの企画を待ち望んでいる人々がどこの会場にも押し寄せるはず。

 また、そういった活動をしているさわかみオペラ財団の賛助会員になって、一緒にオペラ文化を広めていこうといった動きも出てくるはず。

 その広がりが、文化というものなんだろう。 世界でも最高水準のオペラや演奏を堪能したいのなら、それなりにお金をつかうことを楽しむ、これも文化である。

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