「お金をまわそう基金」が公益認定

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 日本には寄付の文化というものが、まだまだ一般化していない。 ふたつ問題があって、ひとつは税制が寄付控除に関しやたら厳しいということ。

 これは、寄付も含め公益がらみの事業はすべて国がやるべしとする、明治以来の中央集権政策に基づいてのもの。 その背景には、民間にやらせると何をしでかすか知れないとする、「お上」の考え方が色濃い。

 その点、優秀な頭脳と高度な情報収集力を持った官僚すなわち国ならば、公平公正な判断を下せるはず。 したがって、国民からは税を徴収し、それを国が予算化して執行すれば万事うまくいくとする図式だ。

 米国では、なにもかも国がやるのではなく、民間の眼と判断力に極力ゆだねようとする。 というか、なんでもかんでも国まかせにせず、民間でできることは民間でやってしまおうとする伝統がある。

 とりわけ寄付のような分野は、人々の生活に密着したもので、国があれこれ関与しきれるものではない。 それよりも税制の優遇を与えて、どんどん民間ベースでやってもらおうというわけだ。

 今回、さわかみグループの「お金をまわそう基金」が公益財団の認定を取得したのは、その中間を行くものである。 つまり、国に代わって公益事業を営むから、税制上の優遇措置が得られるということ。

 具体的にいうと、「お金をまわそう基金」は広く社会から寄付を集め、それをベースとして公正公平に寄付事業を展開していく。 だから、お金をまわそう基金へ寄付していただく個人や法人は、確定申告で税の優遇が得られることになる。

 税の優遇が得られたことで、今後は「お金をまわそう基金」を通して、日本においても寄付というお金の流れを太くしていくことができる。

 日本に寄付文化が一般化してない、もうひとつの問題は貯蓄信仰にある。 これも、明治以来の「まじめに働き、余ったお金は貯蓄すべし」と指導してきた国の政策の結果である。

 国民の間では「お金は無駄につかわない」とする生活信条が、信仰のように浸透してしまっている。 寄付を無駄とまでは考えなくとも、お金をつかうことそのものに抵抗感があるのだ。

 そんな日本人の間で寄付の文化を広めていくには、寄付の意義や社会的重要性を説くよりも、「寄付のおもしろさや社会的な有用性」を実感してもらう方が早い。

 それで、オペラ財団をつくったし、お金をまわそう基金もつくった。 オペラ財団では世界最高のオペラを堪能してもらいつつ、その感動でもって日本にオペラ文化を広めていく「心の贅沢」を、たっぷりと味わってもらう。

 お金をまわそう基金では、社会の片隅で頑張っている人々を次々と紹介し、少しでもお手伝いさせてもらうことで「気持ちの贅沢」をしてもらう。

 どちらも公益財団だから、寄付金は確定申告で税制の優遇が得られる。 どうせ税金を払うのなら、心の贅沢や気持ちの贅沢にまわした方が、よほど気分がいい。 それでいて、どちらへの寄付も国が認める公益事業なのだ。 堂々と寄付できるはず。

 税優遇が得られるのをきっかけとして、寄付という行動が生活の一部になっていってもらえたらいい。 その先で、日本にも寄付文化が定着することになる。

 その時わかる。 寄付という文化の定着が、日本経済の活性化に驚くほど貢献するのだ。 経済はお金をつかうことで拡大発展する。 ところが、経済が成熟化した日本では、もうそれほど個人消費は伸びない。

 しかし、寄付であればいくらでも拡大できる。 寄付をどんどん拡大していくことで、日本経済はいくらでも成長する。 かつての高度成長期のように、国民の富の増殖につながっていくのだ。

 お金は抱え込んではいけない。 どんどんつかってやれば、まわりまわって殖えて戻ってくる。 それが経済というものである。

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