日本の生産性、本当に低いのか?

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 しばしば日本の生産性は米欧に比べて低い、とりわけ事務系とかサービス産業において著しく低いといわれる。

 生産性といっても資本生産性もあるけれど、主として日本の労働生産性が低いという点が問題視されているといっていいだろう。

 労働生産性は投入した労働力で、どれだけ多くの富を創出しているかだ。 大雑把にいってしまうと、労働者一人あたりの売上げがなんぼかである。

 となると、日本の製造業分野では世界と比較しても、そん色ない生産性を誇っているのは容易に納得がいく。

 一方、事務部門とかサービス産業においては、非効率な職場環境がまかり通っている。 それが、サービス残業とか過剰労働に象徴されている。 これが、日本の低生産性に対する一般的な問題認識であろう。

 はたして、それだけだろうか? もちろん、旧態依然とした組織では結論の出ないダラダラ会議や、錯綜した指示系統で現場に混乱を呼んでいるケースは山ほどある。

 しかし、そんな企業や現場はどんどん競争から脱落していくはず。 つまり、放っておいても低生産性の企業は淘汰され消えていくから、いつまでも日本の生産性が低いというのは論理がおかしい。

 そう、ここにこそ日本の生産性の根本的な問題が潜んでいるのだ。 ずばり、日本の経済運営の仕組みに、政治や役所が関与しすぎている点に問題があるといえよう。

 具体的にいうと、ゾンビ化した民間企業や政府系事業ならびに団体が、日本の低生産性の巣窟となっているのだ。 なぜならば、彼らは競争による淘汰というものからは無縁の領域で存在しているからだ。

 そういった税金を食うだけ、あるいは利権や既得権益に守られたゾンビ現象が、日本中あちこちにはびこっている。 だから、日本の生産性は上がらないし経済も活性化しないのだ。

 いってみれば、利権や既得権それに票田が日本経済の低生産性を温存させ、競争による新陳代謝を阻んでいるということ。 これは実に根の深い問題であり、ちょっとやそっとでは解消されそうにない。

 つき詰めれば、日本の政治や官僚組織に抜本的なメスを入れなければいけないということになる。 問題にメスを入れ改革するのが本当の政治なんだが、骨のある政治家はさっぱり出てこない。

 どうしたらいい? 国民一人ひとりが、ゾンビ現象はびこるまま弱体化する一途の日本経済に危機感を持つこと、そしてなんとか立て直そうとする本物の政治家を選ぶことだ。

 もうひとつは、長期投資を通してまともな企業をどんどん応援することだ。 長期投資家による取捨選択が、活気あふれる企業の増加を促し、ダメ企業は市場の淘汰に任せることになる。

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 ★注意 上記の内容は澤上篤人個人の見解であり、さわかみ投信株式会社の考えおよび「さわかみファンド」の運用を説明しているものではありません。 個人の真意を尊重するため、原則、文章の修正はせずにブログを公開しております。