お金には働いてもらってこそ、みなが豊かになる

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 明治初期から延々と日本人に植え付けてきて、いまやDNA 化してしまった感のある貯蓄信仰だが、一刻も早く打破したいものである。

 打破するといっても、DNA 化したものをぶち壊すのは容易ではない。 それよりも、新しい価値観を世に示し、「そっちの方が、ずっといいね」で、人々を動かす方が早い。

 新しい価値観? 本格的な長期保有型ファンドを、貯蓄代わりに積み立てていくことだ。 毎月一定額を積み立て投資していってもいいし、余裕のお金ができたら、1万円でも3万6000円でも追加購入していくのも良し。

 かつて預貯金に励んだ頃と、まったく同じ感覚で、本格的な長期保有ファンドに自分のお金を預けていく。 すると、さわかみファンドの16年4カ月の実例でみるに、年5%でまわってくれていて、預貯金の年0.02%とは比較にならないほどの高利回りとなっている。

 すごいのは、利殖の器として預貯金よりずっと優れているだけではない。 投信は運用の商品だから、成績の保証はできませんといっている。 そこにも、新しい価値観を見いだせるのだ。

 どういうことか? かつての預貯金は企業の設備拡大投資や産業インフラ整備に、次から次へと向けられていたから、お金は存分に働いてくれた。 ところが、日本経済の成熟化につれて、そういった資金ニーズががた減りとなってしまった。

 その結果、銀行や郵便局に集まってくる預貯金の多くが働き場所を失って、国債購入や金融マーケットでのディーリングにまわされてしまう。 産業の発展や経済の拡大再生産には直接寄与しない分野に預貯金マネーが向けられるのだ。

 日本に限らず経済が成熟化した先進国はどこでも、金融金融といって金融ビジネスだけが膨れ上がっているが、雇用の創出や国民所得の増加には大して寄与しない。 まさに、その現象こそが金融の時代とかいわれるものの限界である。

 それが本格的な長期投資ファンドでは、お預かりした資金を経済の現場に向けていく。 金融とかのマネーゲームからは敢然と一線を画し、あくまでも経済の健全なる拡大発展に資するべく運用をする。

 たとえば、さわかみファンドがお預かりしている大事な虎の子は、成熟化した日本経済にあっても健全なる成長発展を求めて、しっかり働いてもらっているのだ。 だからこそ、年率複利で5%のリターンが「ご褒美」としていただけているといえる。

 この辺りの価値観を、もっともっと広めたいものである。