お金をまわそう基金で、3つの幸せを求めよう

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 世の中には寄付を受け入れる団体や組織は山ほどある。 どこも、お預かりした人々の善意を寄付先へ届けるにあたって、寄付額の一部は運営費などの経費として差し引く。

 経費として差し引く分が実際どのくらいになるか、いまいちはっきりしない。 中には、ダイレクトメールなどにすごいお金をかけたり、大きな組織となっている寄付団体もある。

 せっかく5万円寄付したのに、果たしていくらが寄付先へ届けられているのだろうか? そんな、不信感とまではいかなくとも、いまいち納得がいかない寄付の現状を変えてしまおうということで、今年の1月に一般財団法人「お金をまわそう基金」を立ち上げた。

 お金をまわそう基金では、お預かりした寄付は全額が寄付先へ届けられる。 毎年の運営経費はすべて、さわかみ財団から拠出される資金で賄っていく。 これなら、すっきりしているだろう。

 もうひとつの特徴は、お金をまわそう基金では前もっていくつかの寄付先を提示しておく。 したがって、寄付する人は自分の思いを届けたい先を選んで寄付できる。 

 大事なのは、すっきり楽しく寄付してもらうことだ。 寄付というお金の流れをどんどん太く幅広くしていくことで、いくらでも世の中を良くしていける。

 実際、寄付には経済社会的にみて、3つの大きな貢献をすることになるわけで、流れを大きくしない理由はない。

 第1は、本当にお金に困っている人々や、お金を必要としているところに、お金をまわさせてもらえる。 社会的にみて、お金の流れが偏ったり極端に細かったりしている部分を是正していける。

 よくいわれる、社会的弱者に手を差し伸べるだけではない。 人々の善意でもって、富の偏在や機会不平等を是正しつつ、社会正義を追求できるのだ。

 第2は、そういうところへお金がまわっていけば、寄付額の大半が消費などで支出に向けられる。 それだけ経済活動の活発化に貢献できる。

 ちなみに、個人金融資産1706兆円のうち、826兆円が預貯金に眠っている。 そのたった1%の8.2兆円が寄付にまわるだけでも、日本の国内総生産 (GDP) を1.7%も押し上げる効果が期待できるのだ。

 第3は、寄付に向かう資金が大きくなればなるほど、国の財政負担を減らすことができる。 寄付文化が成熟経済や社会を岩盤のように支える図式だ。

 民間の善意が集まって、社会とりわけ下層部分のお金の流れを潤沢にすることで、国に頼る度合いが減っていく。 それだけ予算計上額も下げられる。

 いまだ日本では、寄付がマイナーな存在に留まっているが、成熟社会においてはきわめて重要な役割を果たすことになる。

 そんなわけで、「お金をまわそう基金」ではいま公益認定を受けるべく申請中である。 順調に進むと、12月には内閣府から公益認定を受けられる。

 公益認定を受けると、寄付いただいた方々は税控除を受けられる。 ということは、もっともっと多くの寄付をいただけることになるわけだ。