日本こそ国民投票を

Browse By

 週末にギリシアの国民投票が行われて、緊縮財政に耐える厳しい道を選ぶのか、それを拒否するのかがはっきりする。

 よくいわれることだが、日本の財政状況はギリシア以上に深刻である。 もちろん、日本は対外債務もないし経常黒字国でもあるので、国外から財政再建を急ぐよう迫られることはない。

 そうはいうものの、年金や医療費の税補てん額と国債費とで55兆円を超し、予算の57%を占める状況は異常である。 この二つは、高齢化の進展や国の借金財政もあって、今後も増え続けることは明白である。

 一方、国の予算も今年度96兆円のうち、国債発行で37兆円を調達する。 税収増加などで昨年度の41兆円からは減ったが、それでも予算の39%が国債発行で賄われるわけだ。

 とんでもない借金財政だが、いまに始まったことではない。 もう20年にわたって、日本は大量の国債発行によって予算のやり繰りをしているのだ。

 そんなやり繰り、永久に続けられるものではない。 いつかどこかで国債の新規発行が困難になる。 その瞬間に、日本の国家運営は資金不足をきたす。

 たしかに、この2年余は日銀による国債の大量購入で、国債相場は高値で安定している。 そうはいっても、年80兆円の国債購入は日銀にとって重い負担である。

 国民の多くはアベノミクスによる成長加速で、日本の財政が破たんするのは避けられると期待している。 別に財務省の肩を持つ気もないが、数字をしっかり追うと3%や4%の成長で財政再建は無理という判断になる。

 このままいくと、どこかで日本の綱渡り財政に黄色信号が点滅する。 そんなのずっと先の問題と軽く見るなかれ、世界のマーケットはかなり前から凝視している。 黄色信号となった瞬間に、日本国債の先物売りを仕掛けてこよう。

 どうしたら良い? アベノミクスが成長戦略を追うのとは別個に、国民に選択してもらうことだ。 このまま借金財政を続けて、どこかで財政破たんを迎えるのが良いのか、いま身を削る負担を国民が共有して財再破たんを回避するかを、国民投票で問うのだ。

 その時、日本が置かれた状況を正確かつ正直に開示する必要がある。 ここまでなんとかなったから、この先もなんとかなるだろうではなく、現在ここまで酷くなっているのですよと、日本の財政状況をさらけ出すことだ。

 あえて繰り返すが、ひとたびマーケットが意思表示を始めたら、政治による利害や既得権の調整とかは瞬時に吹っ飛ぶ。 マーケットに対しては、先手必勝あるのみである。