長期投資が日本を救う

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 ちょっと大げさな表題となったが、まあしっかり読んでください。 つらつら考えるに、長期投資をどんどん進めることが、日本経済にとって一番健全な成長戦略となる。 そう考える根拠を、以下に並べてみよう。

1. 国民の間で長期投資が普及すると、経済の現場にお金がまわり、民間版の景気対策になる。 高度成長期には耐久財消費の爆発で、一国の経済は放っておいても拡大発展する。 ところが、国民の間で家電にしても何にしても欲しいものが行き渡ってしまうと、そこからは買い替え需要が中心となってかつてのような需要の爆発はなくなる。

 経済の規模は、動いているお金の量とスピードで決まってくる。 買い替え需要中心となると、どうしても経済規模の拡大つまり成長率は鈍くなる。 それを補うのが、長期投資によって経済の現場にお金を放り込んでやる経済行動である。

 耐久財消費も長期投資も、経済の現場に資金をまわすという意味では同じである。 よく、株を買ってもその資金は売った人の手に移るだけで、経済の拡大にはつながらないといわれる。 なに、その心配は無用。 国民の間で長期投資が本格普及すれば、放っておいても大量の資金が経済の現場に流れ込んでいく。

 気がついたら、日本経済は長期投資をベースとした成熟経済らしい拡大発展に入っていっているだろう。

2. 国に代わって国民の長期投資が日本経済活性化の主役となることで、国の野放図な財政拡大を抑えることができる。 このままいくと、日本の財政は破たんに向かって一直線だが、それにブレーキを掛けられるわけだ。

 また、財政ファイナンスの色が濃くなってきている日銀による国債の買い取りをストップさせられる。 国債の暴落懸念もやわらげられる。

3. 日本経済の成熟化が進み、労働力不足が成長のボトルネックとなってきている。 円安誘導とか公共投資を増やすといった、従来の景気刺激策ではもうそれほど効果が出ない。

 自分も働くが、お金にも働いてもらって、それで収入を増やしていく経済段階に入ってきたのだ。 つまり、ゆったりと長期投資を進めていくことで経済の拡大発展に貢献し、なおかつ長期投資で積み上がってくる資産をベースにして、より豊かな生活を求めていく図式だ。

4. 日本には809兆円という、経済規模の1.7倍にあたる個人の預貯金マネーが存在する。 その10%でも長期投資にまわるだけで、日本経済の現場に80兆円という巨額の景気対策費ともいえる資金が投入されるのだ。 株価は大幅に上昇するし、その資産効果で消費や企業の投資が大きく伸びる。 経済活動全般に活力がよみがえってくる。

 それだけではない。 長期投資では応援する企業を厳選する。 生活者にとって現在も将来も、ますます頑張ってもらいたい企業に向かって、お金がまわっていく。 国の景気対策などでみられる、ゾンビ企業を存命させるような後ろ向きの資金投入はない。

 お金をまわしていく方向を生活者目線で定める長期投資は、経済や社会を活性化させると同時に、その質をどんどん良くしていけるのだ。

5. 長期投資は誰でもが参加できる。 格差だとか低所得層だとか言っていても、どうせ国は大したことしてくれない。 それよりも、少額ずつでも積立て投資を進めていこう。 国に何か期待して待つよりも、先ずは長期投資をはじめることだ。 お金にも働いてもらうことのありがたさを実感する方が、よほど着実であり健全である。

 年金も当てにならないし、自助自立の生き様ありきでいこう。 より良い世の中をつくっていこうとする長期投資が、大きな働きをしてくれるのだ。