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 昨日は新宿紀伊国屋の7階ホールで、出版記念セミナーがあった。 新潮社から同時期に新著を出した、ライフネット生命の出口会長との対談あり、240名を超す観客からの質疑応答ありで、あっという間に2時間が過ぎてしまった。

 さわかみ投信もライフネット生命も、日本の金融業界における異端児である。 真に顧客サービスという面では、まったくをもって鈍感で旧態依然としたままの日本の金融業界に、2社は敢然と立ちあがり新風を吹き込んだ。

 とはいえ、投信業界も生命保険業界も既存の業者の壁は厚く、両者の挑戦はまだこれから先もずっと長い道程を進むことになる。 われわれはまだ小粒な存在でしかないのだから。

 しかしながら、この勝負は勝ちが見えている。 ここから10年もすると、形勢はずいぶんと挑戦者側に傾くことになろう。 その自信はどこから出てくるのか?

 顧客サイドが、既存の業者か新参の我々か、どちらが本物かを選別する時が早晩訪れる。 本物度の判断尺度は、長い歴史と規模による安心感などではない。 あくまでも、顧客サイドが自分にとってどれだけ有利かをみて、選別を始めるのだ。

 たとえば、投信業界でいえば分配型のファンドが大半を占めている。 高齢者中心に分配金を小遣い代わりにしたいというニーズが高いからと、業界はこれでもかこれでもかと分配型のファンドを新規設定している。

 分配の原資は元本を取り崩して捻出しているから、どのファンドも時間が経てばたつほど基準価額は悲惨な水準にまで落ち込んでしまう。 財産づくりには何の役にも立っていないのだ。

 10年先を考えてみよう。 いまの高齢者層のかなりが人生を終え、高齢者層の代替わりが進んでいるはず。 その頃には年金財政も相当に悪化しているだろうから、新しい高齢者層が相も変わらず分配金にしゃかりきとなるかは疑問である。

 むしろ、時間の経過とともに基準価額が着実に上昇している本格派の長期保有型投信に、高齢者のみならず一般の投資家顧客の関心は移っているに違いない。

 そうなると、さわかみファンドの独壇場である。 すでに15年余の実績を誇り、成績も年4.7%と他の金融商品を大きく引き離している。 おそらく、次の10年で成績上昇のピッチは上がり、純資産額も1兆円を超す堂々たる存在となっていよう。

 立場の逆転は見えている。 大事なのは、この10年間で何をやるかだ。 既存の業界と張り合う必要はない。 どうせ彼らは時間とともに顧客ニーズをつかみきれなくなるのだから。

 やるべきは、本格的な長期投資をぐいぐいと進めていくこと。 そして、セミナーなり勉強会の依頼あれば、たとえ5人でも10人でも出かけていって、長期投資の良さとすばらしさを分かってもらうことだ。