年金はダメになっていく方向

Browse By

 昨晩のインベスターズTV の生放送でもあった質問だが、いまや年金は大丈夫なんでしょうかの段階を越えてしまっている。 多くの人々の関心は、果たしてどこまで現行の年金制度がもつのだろうかといったところだろう。

 もう国民の誰もが常識としているように、年金を積み立ていく若年層人口が減っていく一方で、年金を受け取る高齢者層がどんどん増えていっている。 それが、年金財政悪化を加速させている元凶である。

 どうにかしようと思えば、当面の対処として年金給付額を大幅に減らすしかなく、年金生活者の猛反発を招くだけ。 若年層の積立額を殖やせば、現に40%を超している年金未加入者のさらなる増加を招く一途である。

 抜本的な解決方法としては、少子化の流れを断ち切るべく出生率を上げるか移民を増やすしかない。 いまから出生率を上げ始めても、年金積立額が増加に転じるのは20数年後のこと。 移民にしてもきちんとした政策の下に実行しないと、いろいろな社会問題を引き起こしかねない。

 つまり、年金財政を改善するにはちょっとやそこらの対策では、まったくをもって間に合わないのだ。 政府や厚労省がいう100年安心年金なんて、どう考えても信じられない。 官僚特有の無責任作文の絵空事でしかない。

 では、どうする? 年金の保険積立て制度を止めてしまおう。 高齢者全員への基礎年金は消費税を改めた社会福祉税を主体とした税金でもって賄い、国民生活の最低保証をする。 それで不足する部分は、国民それぞれが自分年金づくりを進め、それに対し国は税控除で支援するにとどめる。

 これでもって、厚労省を中心とした年金の積立てやら運用やらの関連業務をほとんど無くしてしまえる。 それによるコスト削減効果は半端ではないし、すべて財政圧縮につながる。 もちろん、年金運用成績向上とかの悩みもなくなるし、年金問題は未来永劫に一掃できる。

 現時点で年金をもらっている高齢者や、ずっと積立ててきた現役層に対しては? 現在の受取額の全額ならびに、これまで積み立ててきた分の年金支払い相当額を、65歳を超えた年齢から生涯ずっと上乗せしてやる。

 そんな大盤振舞いできるの? 大丈夫、再来年の1月からマイナンバー制度が始まる。 国民全員の収入状況や年金受取額まで、すべてコンピュータ把握され公平公正に税を徴収することができる。 低所得層に対しては、それなりの対策を講じることもできる。

 もう一度、整理してみよう。 国民年金や共済年金の保険積立て制度は廃止して、65歳以上の国民の全員が基礎年金を消費税を改めた社会福祉税を原資として受け取れる制度に切り替える。

 その上で、いま年金をもらっている高齢者層は、その額を生涯ずっと受け取れることとする。 現役層にはこれまでの積立額相当の年金を65歳から受け取れることになる。 こうしてやれば、一切の不公平を生じさせることなく年金問題は解消してしまえる。

 せっかく年金問題を一掃しても、日本経済が活性化しないことには元も子もない。 そこで、マイナンバー制度を有効活用しながら、税体系も抜本的に改めてしまおう。

 すなわち、社会福祉税額は15%にまで引き上げて、国民全員に広く薄く負担してもらう。 生鮮食品は非課税、その他の品目で軽減税率は一切なしとして、徴税業務の簡素化を図る。 これもマイナンバー制度あればこそで、生活困窮者や低所得層へは現金給付で増税負担分を賄ってもらう。

 なぜ、社会福祉税を15%にまで引き上げるのか? 成熟経済活性化のためには所得減税や法人税の軽減化は避けられない。 直接税の比率を下げ、間接税の比率を上げることで、富の創出意欲の高い個人や企業を前向きに動かすのが一番だからだ。

 ここまで一気にやってしまえば、日本経済や社会を取り巻く不安が相当に解消できるだろう。 そしたら、マイナンバー制度を活用して徐々に財政の健全化を加速させよう。 つまり、個人個人の年金を含めた全収入に対する公平公正な課税で、国の税収を高めていくのだ。