投資のベテランでも

 昨日はお昼時に、昔からの投資家グループとのミーティングをした。 もう10数年にわたって長期投資を御一緒している方々ばかり。 皆さん相当に財産づくりが進んでいるので、和気あいあいといった雰囲気の勉強会である。

 面白かったのは、年に4回ほどのミーティングなんだが、その間にいろいろな情報が刷り込まれてしまっていること。 皆さんは長期投資に何の不安も感じていないのだが、マスコミ報道による "現実" とのギャップの大きさにどうしても戸惑いを覚える。

 だから、出てくる質問は知的な興味を越えて、どこかで我々の長期投資が崩されるのではないかといったものになりがちである。 マスコミが報道する "現実" とやらは、断片的なものが多い。 ところが、それが全体像であるといった捉え方をしてしまうわけだ。

 あちらは、現実の出来事をできるだけ早くかつ正確に報道するをもって、自分たちの仕事に誇りと使命感を感じている。 とはいえ商売だから、できるだけ購買部数を増やし、視聴率を上げたい。 それで、一般大衆の関心の高いと思えるところを、これでもかこれでもかと取り上げる。

 結果として、マスコミ報道だけに頼っていると、"大きく報道されていることが、世の中の現実" と思わさせられてしまう。 実際のところは断片的な現実に過ぎないことが、あたかも全体の姿としてマスコミ報道を真に受けてしまうことになる。

 たとえば昨日も、新興国の成長率が鈍っているということだが、中東やウクライナなどで頻発している地政学的リスクが影響を及ぼしているのではないか? 米国の力が衰え、これから地域紛争や小規模な戦争が全世界的に勃発するのではないか? それが、世界経済の成長にブレーキとなるんではといった質問が相次いだ。

 ここまで自分の認識として頭に入れてくれると、マスコミ関連者も職業冥利に尽きるだろう。 そういった一般市民の関心の高い事項をもっともっと報道しようとなる。

 ちょっと待ってくれだ。 新興国の成長率が落ちているといっても、これまでの9%とか7%だったものが、2%~3%分ぐらい落ち込んでいるだけのこと。 相変わらず数%成長を続けているのだ。 それは世界中どこでも変わらない。 人は一度でも豊かな生活を知ってしまったら、もう元には戻れない。 もっともっと豊かになりたいと頑張るのが人情である。

 地政学リスクといっても、その地域に住む人々の生活は続いている。 ほんの一部にマスコミ報道のいう難民の苦しい生活があるぐらい。 真実を報道するのがマスコミの仕事と自負するなら、その紛争地域で難民としてキャンプ生活を強いられている人々は国民の1%にも満たないといった事実も取り上げるべきだろう。

 世界規模の全面戦争ならいざ知らず、どの紛争地域でも国民全体の99%を超す人々の生活は曲がりなりにも営まれている。 そこには、企業のビジネス活動が存在する。 それが経済である。

 まして、ここから2050年に向けて地球上人口は毎日18万5,000人ずつ増え続けるのだ。 世界経済は黙っておいても成長する。 そこに、われわれの長期投資もあるのだ。 マスコミ報道にふらふらする理由はどこにもない。