年金100年安心の改革案?

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 政府そして厚生労働省は年金の100年安心プランなるものを作成した。 報道では8通りの案があって、いろいろな条件に照らし合わせている。

 いろいろな条件とは、出生率がどのくらいになるかとか、経済成長率をどの程度に想定するかといった前提を、あれこれと並べること。 その上で、将来予想を統計処理するわけだ。

 どれをみても官僚作文の臭いがプンプンしてくる。 とにかく100年安心だよという結論ありきで、都合の良い数字を引っ張り出している感がある。

 年金財政はいつも同じ繰り返しをしている。 5年10年と時間が経って現行の年金行政に齟齬が目立ってくる頃には、今の担当者はいない。 後任の担当者は前任者たちの仕事を全面否定することはできないから、何とかパッチワークを施しては問題を先送りする。 そして彼らもいずれいなくなる。

 そんな継ぎはぎだらけの年金政策をずっと続けているわけだが、大きな改革案が出てくるたびに今度は大丈夫と胸を張る。 官僚としては精一杯の計算をしたのだろうが、結果無責任となっても彼らは既にいなくなっている。

 これは、日本だけの問題はない。 そして厚生労働省の官僚や適切な方向を打ち出せない政治家の資質を問うだけでは、とても解決できない。 世界中どこでも苦しんでいる、年金の制度そのものに根ざしている問題なのだ。

 どこの国の年金も積立保険の制度を敷いていて、毎月の積立金のプールを高齢層への給付としている。 これを世代間扶養というが、人口構成が若い間は何の問題も発生しない。

 ところが、人口ピラミッドがビヤダル型から逆ピラミッドになってくると、年金の積立額よりも給付額の方が大きくなって年金財政は一気に悪化する。 

 それを解決するには、人口構成をピラミッド型に戻すしかない。 よほど真剣に人口増加策を講じても、新生児が成年になって年金積み立てを始めるまでには最低でも20数年かかる。 その間に年金財政はますます悪化していく。

 どうすべきか? 年金積立制度を廃止して、消費税を社会保障税に切り替える。 その税収をベースに年金を給付していくのだ。 年金は国民すべての老後にかかわる問題なんだから、社会福祉税で国民の皆が広く薄く負担していけばいい。

 このあたりは、以前に何度も書いたが、そのうちまた書こう。 今日はここまで。