預貯金と株式、どちらが安全か?

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 今日の表題をみるに、いつもこの長期投資家日記を読んでおられる方なら、すぐピンとくるだろう。 また、はじまった。 長期の株式投資の方が安全に決まっていると言いたいのでしょといった反応が返ってくるはず。

 そうなんだけど、もう少し詳しく書いておこう。 先ず銀行預金だが、これは自分の大事な虎の子を銀行の経営にお任せしますと、文字通り全面的に預けてしまう。

 銀行は大事な資金を預かっているから、できるだけリスクを避けた安全な資金の運用を考える。 となると、倒産リスクの少ないと思われる大企業への融資は積極的に進めるが、中小企業への融資は貸し渋りとなりがち。

 大企業は銀行以外にもいろいろな資金調達手段をもっているから、よほど有利な条件でなければ銀行借り入れをしない。 ということは、銀行にとって大企業融資は安全かもしれないが、貸出金利は低めとなり利幅は低くなる。 一方、中小企業への融資でそうそうリスクを取りたくない。

 となると、国債購入が魅力的な資金の運用先となる。 たとえ長期国債の利回りが年0.5%台であっても、年0.02%で集めた預金をまわせば、年0.48%の利ザヤが稼げる。 リスクなしで自動的に年0.48%稼げるのなら、銀行にとっても文句はない。 それで、現在140兆円前後の国債保有となっているわけだ。

 一方、郵便貯金はいまのところまだ国営だからという安心感がある。 しかし、貯金で預かった資金の運用先は国債がほとんどである。 ほんの一部を政府系機関へ融資しているだけ。 そして、国はもう既に1000兆円を超す借金を抱えている。

 ここまで書いてくれば、お判りでしょう。 長期の財産づくりで、いま一番気をつけなければならないのが国債の下落リスクである。 2%のインフレ目標の達成はそう遠くないだろうが、いざその時には利回り0.5%台の国債など何の魅力もない。

 皆が保有国債の売り急ぎに走るのは目に見えている。 もうそうなったら、誰も買おうとしないから国債価格は急落するは、保有している国債は売れないまま評価損が膨れ上がるはで、金融機関全般がパニック状態に陥る。 そうなると、時と場合によっては銀行預金や郵便貯金の引き出しに制限がかかるかもしれない。

 日銀が国債を大量買いして売りを吸収する? それをやったら、日銀券の増発となり物価の急上昇と悪性インフレの火がつく可能性が高まる。 預貯金の価値が一挙に目減りしよう。

 きちんと考えると、預貯金は多方面で相当なリスクにさらされているのが理解できるはず。 どこが安全なのか、ここで思考停止していてはならない。

 その点、長期の株式投資であれば虎の子の預け先が、生活者として無くなっては困る企業である。 毎日の生活で売り上げに貢献し続ける企業だから、国債が暴落しようがインフレが到来しようが潰れっこない。 そういった企業の株主になっておくことだから、今のような嵐が迫っている時ほど安心できるお金の置き場所となる。

 たとえ金融機関がパニック状態となって、株価が一時的に下がっても心配ない。 時をおかずして猛烈な株買いが始まろう。 なにしろ、世の多くの人々がその時になって大慌てで、預貯金や債券から株式への資金シフトに殺到するだろうから。

 今夜は8時からインベスターズTV の生放送。 ダイスケお父さんに通じるかな?