どうして長期投資の主役は株式なのか?(前篇)

Browse By

 われわれ一般生活者の財産づくりは株式投資を主体にして、ゆったりどっしりとそして長期で構える。 それが財産づくりの王道である。

 どうして、債券とか金投資あるいは市況商品ではなく、株式投資が中心となるのか? それは、株式投資が唯一プラスアルファが期待できるからだ。

 株式を含めあらゆる投資商品は、その時々の金利水準とつかず離れずの値動きをする。 金利水準と何らかの関連性を持った値動きをし、そこからは大きくかい離することはない、それを金利裁定という。

 そんな中、株式だけは企業の利益成長による投資価値の高まりというプラスアルファがある。 通常の金利裁定にプラスして、投資価値すなわち投資対象の固有価値の高まりが乗っかってくる。 その分だけ、株式投資のリターンは他の投資商品を圧倒したものになるわけだ。

 だからこそ、株式投資において企業選別が大事になってくるのだ。 長期的にみて利益成長が期待できる企業をしっかり選んで、じっくりと投資することによって大きな財産づくりとなっていく。

 では、どういった企業が長期的に事業を拡大させ、しっかりと利益を積み上げていくのだろう? もちろん、企業個々の経営力による部分も大きいが、それよりなによりもその企業の事業が大きく伸びていくかどうかによる。

 事業が大きく伸びるというのは、その商品やサービスを世の中が今も将来も必要とし、ずっと売り上げに貢献してくれるからである。 一時的に世のニーズを吸い上げ爆発的に売り上げを伸ばしても、2~3年で消えていく企業では長期投資の財産づくりはとても望めない。

 やはり、人々の生活に欠かせない商品やサービスの供給で、他の競争相手をどんどん引き離していく企業でなくては困る。 でないと、長期的な利益成長も望めない。

 でも、長期的に成長し続ける企業を見つけるのは難しい? たしかに一般的な株式投資の一番の悩みが、持続的な成長を期待できる企業を発掘するところにある。

 そこで、長期投資のもう一つのキーポイントが浮上してくる。 生活者として熱く応援したい企業かどうかといった観点がキーワードとなってくるのだ。

 われわれ生活者が積極的に応援株主となっていく企業であれば、その企業の経営も一般生活者の期待と満足感に沿ったものにしていこうとなる。 社会や環境はじめ企業倫理といったものへの意識は高まらざるを得ない。 もちろん、雇用の促進や将来への投資も積極化しないと、社会からの共感は得られない。

 逆に、そういった社会性の高い企業であって、なお少しずつ利益を積み上げていくとなれば、これはもう最高の長期投資対象銘柄となる。

 生活者からみれば、どうせ買うならこの会社の製品をとなるし、株価が安く売られているのなら応援株主になろうともなる。 いってみれば、利益共同体の意識だ。

 とはいえ、企業経営者の意識はまだそこまでいっていない。 自社の大株主である機関投資家や海外投資家への配慮は欠かさないものの、一般個人による生活者株主に関しては、ひとつの理想論ぐらいにしか考えられないのが現実だろう。

 その概念をどうぶち壊していくかが、われわれの挑戦である。 挑戦とはいうものの、いずれ生活者株主という概念が主流となっていくのは間違いないが。

 これは大事なテーマだから、連休の間に皆さんじっくり考えてみましょう。 続編は明後日の30日に。