薬漬けのような株式相場

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 昨日の日本株市場は3日続落の相場地合いを引きずって、大きく下げた。 前日までの3日続落は NY 市場の調整局面に同調したものだが、昨日のは日銀の追加刺激策が発表されなかったことへの失望売りとなった。

 笑えてくるよね。 政府や中央銀行による景気対策や金融緩和がなければ、もう慌てて売るなんて。 それでよく投資家の顔しているものよと、あきれてしまう。

 日本株市場のだらしなさは、前々から指摘しているように、自分の判断でさっさと投資行動に移れる投資家が少なすぎるところにある。 ほとんどの投資家が相場追いかけ型で、株価の上昇をみてそれに乗ろう乗ろうとする。 下がるとみるや、蜘蛛の子を散らすように売り逃げに走る。

 そういった投資家が多いから、相場上昇につながることなら何でも歓迎する。 いつも新しい買い材料を追い求めており、情報にはきわめて敏感なのが日本の投資家の特徴である。

 とりわけ政府や日銀の政策には期待するところ大で、次はどんな政策を打ち出してくれるかに、日本の投資家はいつも耳をそばだてている。 それが高じて、政策へのおねだりも常態化している。

 おねだりが通らなかったとなれば、すぐさま失望売りとなる。 昨日の下げは、まさにそれであった。 オイオイ、それで投資家かよと言いたくなるような慌てぶりだった。

 これって、よくよく考えてみると薬漬けの患者と一緒じゃないだろうか。 薬漬けが進むと、そのまま廃人のようになってしまうのかもしれない。 健康じゃないよね。

 まあ、薬漬けまではいってないかどうかは、投資家それぞれの胸に聞いてもらおう。 はっきりしているのは、薬に頼ることなく自己治癒力を高めていくことが、健康な生活を送れる第一歩だろう。

 投資とりわけ株式投資においては、企業の将来可能性を自分なりにリサーチして、安い間に買っておくことに尽きる。 どこまで幅広く筋道立ったリサーチができるかは、人間の体で自己治癒力を高めることと同じである。

 きちんと企業リサーチし、安い間に買い仕込んでおくという株式投資のイロハを徹底すれば、相場動向なんて気にならなくなる。 そこへ、国や日銀の政策が上乗せされれば、これは儲けものぐらいに受取るだけのこと。

 別に、政策がなくとも人々の毎日の生活は続くし、それを支える企業活動も途切れることはない。 そこに、われわれの長期投資がある。