時間の重みと長期投資

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 長期投資で一番の味方は時間である。 もちろん、長期的にみて価値が高まっていくであろう投資対象を選ばなければ、いくら時間が経っても大したリターンは得られないが。

 この週末にすこし時間があったので、ずっと昔から積み上げてきた書類を整理した。 毎週末の長期投資勉強会などで出っ放しだったから、ちょっとやそっとでは片付かない。 これからも暇を見つけては整理しなければなと、改めて ”時間の重み” に感じ入った次第。

 そんな中、1970年代後半にアナリストとして書いた銘柄レポートが出てきた。 おお、たしかあのころ書いたよなと感慨にふけりながらページをめくっていて、ふとあることに気が付いた。

 それは、35年ほど前に10数銘柄のレポートを製本したものだが、どの銘柄も株価は10倍以上になっている。 70年代後半といえば、日本経済が元気一杯で高成長を続けていたころだ。 その当時、長期投資の対象として選んだ企業10数社の株価は、いずれも100円台から300円ちょっとぐらいだった。

 その株価がどれも10倍以上になっているということは、35年ほどの投資パフォーマンスが年率で8%ぐらいを達成していたことになる。 結構すごいものだなと感心させられる。

 単純に驚いてはいけない。 現実はもっとすごいものがある。 1980年代後半には、土地と株式のバブル相場に乗って株価全般が猛烈に上昇した。 そして、97年から2000年にかけては、国際優良株と IT 関連株のバブル相場で、多くの株価がもう一度ぶっ飛んだ。

 それらの株価急騰局面で利益確定していたとしたら、35年間の年率パフォーマンスは10数%から20%近くとなっていたはず。 これは、たらればの話しではない。

 なにしろ、われわれ長期投資家は株価が大きく売られているところでは、断固たる応援買いを入れる。 そして、株価が過剰人気で買われているとみるや、一時的に応援を銭ゲバ投資家に任すべく薄く薄く売り上がっていく。 その結果として、ごく自然体で大きな相場を早めに乗り、早めに降りて行くことになる。

 ともあれ、年10数%の長期投資リターンは横へ置くとして、ずっと持ちっぱなしでも年率8%ほどの投資リターンを手にできている。 悪くないよね、35年ほどで財産が10倍以上になっているんだから。

 これが、長期投資における時間の重みである。 この間、さわかみファンドはまだ設定されていなかったが、積立て投資をしていたらすばらしい財産づくりができていたはず。 まして、90年代に入ってからと、2001年~04年それに07年~2011年と、3度にわたる株価暴落局面を、ずっと定期購入していけたのだからね。

 本格的な長期投資のすごさは、時間が経てばたつほどに光り輝いてくる。 それを世の人々にどう伝えていくかは、やはり百聞は一見に如かずで、先行者の成功モデルをみてもらうのが一番なんだろう。

 その意味では、さわかみファンドがじわりじわりと長期投資の成功モデルを世に示していくことになるんだろうね。

 明日は、関西方面で企業研修があり長期投資家日記はお休みです。 しかし、夜8時からのインベスターズTV の生放送では、皆さんからの質問にお答えしますよ。