個人投資家の強み

Browse By

 ここへきて、クリミヤ問題が地政学的リスクということで金融マーケットに緊張感を与えている。 先週から今週初めにかけて世界の株式市場も売り先行となったが、この2日間はさすがに反発高している。

 そんな中、日本株市場の下げっぷりは超一流だった。 機関投資家をはじめとして、下げ相場で買い向かおうとする投資家らしい投資家が皆無といっていい日本株市場だから、皆おたおたと逃げ腰を見せるばかり。 そのだらしなさをついて、ヘッジファンドなどが好き放題に売りを仕掛けてくる。

 幸か不幸か、東京市場は世界3大株式市場のひとつで流動性も高い。 世界の機関投資家とりわけ中国など新興国株式市場へのウエイトを高めていたところは、日本株市場で先物を売ってヘッジをかけようと東京へ殺到してきた。

 そこへ、日本の場合は3月本決算という季節要因が重なってくる。 金融機関はじめどの企業も3月20日ごろまでには、決算のめどを立ててしまいたい。 それで、売れるものは売って現金化を急ぎ、決算数字を固めようとする。

 したがって、この時期に大きな変動はなんとしても避けたい。 もちろん、新規の投資なんて考えるタイミングではない。 とにかく決算数字を固めて、3月31日を通過したい。

 これらの全部が重なって、日本株市場は1月後半からずっと売り先行の相場展開で、ずるずると下がってきたわけだ。 相場は売る人が多いから下がるわけで、下げすぎと文句を言ったところで、売っている人たちにとっては馬の耳に念仏である。

 では、この先どうなるかだ。 はっきりしているのは、2週間もしないうちに新年度に入っていることだ。 つまり、来週の今頃には新年度への動きが出始めることになる。

 その時、クリミヤ問題が落ち着くところに落ち着いていれば、株価は売られすぎの反動で大きく買われよう。 片付いていなければ、しばらくは様子見となるのだろう。

 いろいろ書いてきたが、ここまでは全体像である。 大事なのは、われわれ長期投資家はどのような行動ができるのかだ。 相場動向などにかかずりあってはいられない、ともかくも行動である。

 よく考えてみよう。 クリミヤ半島そしてウクライナとロシアで何があろうとも、合わせて1億8千万人以上の人々の毎日の生活はなくなりっこない。 よしんば中国の理財商品問題が火を噴いたところで、13億強の民の生活はずっと続く。

 人々の生活を支える企業のビジネス活動は、なにがあっても一時として途絶えることはない。 むしろ、少しずつでも生活水準を上げたいという人々の願望の方が強いから、ビジネス活動は拡大の道をたどるのが歴史の教えである。

 ただ、株価だけはリスク意識が先行して下がり気味である。 ということは、長期投資家にとってはおあつらい向けの買いチャンスが与えられているわけだ。

 ここで買って2年か3年、放ったらかしにしたっていいじゃないか。 この安いところで買っておいて、3年で2倍になれば年率で24%の財産づくりが進むことになる。 なんの文句もなかろう。

 これが個人投資家の強みである。 気を付けるのは、しっかりした銘柄選択をすることだけだ。