安い時に買えるか

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 新年相場は大幅安で始まった。 海外の市場もちょっぴり下がっていたのと、外国人投資家の日本株売りを嫌気しての下げだった。

 下げたといっても大したことではないが、新しい年も始まってちょうど良い機会だから、長期投資家の発想法と腹のすえ方を確認しておこう。

 第1に、長期投資家は株式投資を主体とするが、本気で5年でも10年でも応援したいと思う企業を選別しておく。 生活者として無くなっては困る企業で、とりわけ自分の思いや夢を乗せられる企業を、3社でも10社でも先ず決めておくのだ。

 そして第2に、何らかの理由で株式市場が大きく売られる時を、じっと静かに待つ。 いくら応援したいと思う企業でも、株式市場が買い人気で盛り上がっている間は、長期投資家の出番ではないと割り切っておこう。

 そのうち第3に、年に2回から4回ほど訪れる暴落相場が襲来したとみるや、前もって応援しようと決めていた企業の株に断固たる買いを入れるのだ。 株式市場が暴落しているから怖いとか、ちょっと様子をみようなんてのは長期投資家の行動規範にない。 にやっと笑って買い向かおう。

 いっておくけど、暴落相場なんて簡単に発生するよ。 たとえば、昨年末にかけて株価全般は相当に上昇したから、遅れてはならじの飛びつき買いが結構入っている。 われわれ長期投資家はずっと前から買っているからどうってことないが、慌てて買った投資家たちは新年相場に入って4日ほど下げが続くと、もう浮き足立ってくる。 そこへなにか悪材料が出るや、真っ青になって売り逃げに走る。 それが、よくある暴落相場というものである。

 そこで第4だが、こちらは前もって応援しようと準備万端で待ち構えていた株が、1週間前よりずっと安値で売られているのだから、ごきげんで買うことになる。 市場関係者や大半の投資家は株価の下げに動転しているが、長期投資家はにんまり。 この違いを実感することで、どんどん腹の据わった長期投資家になっていける。

 投資なんて安い時に買っておけば、後はどんな料理でもできる。 暴落相場で青くなって逃げるか、そこをニヤリと買い向かうかでは、大きな違いとなってくる。

 第5は、しばらくして投資環境が落ち着いてくるにつれ、売られすぎた株価に買い戻しが入る。 そこから先の相場展開は経済情勢や景気動向次第だが、暴落時の安値で買っておいた長期投資家は保有株に利が乗っているから、ゆったりと構えていられる。

 第6は、いつになるか知らないが投資家人気が高まってきて、にわか応援団が大挙して出てきたとみるや、われわれ長期投資家は保有株を少しずつ売り上がっていく。 それは、利益確定であると同時に次回の応援買いのための現金づくりでもある。

 この繰り返しを、自分のリズムでやっていくのが長期投資である。 その間、応援したいと思う企業は変わることなく人々の生活を支えようと日夜頑張っている。 ただ、株価だけが大きく売られたり、買われたりしているだけだ。 どこに焦点を当てて投資すれば良いかは考えるまでもないこと。