個人マネーをどう動かすか?

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 経済はお金がどんどんまわることで、いくらでも活性化させられる。 その典型例が、年金受給世代によるどちらかというと高額な旅行ブームだろう。 年金受給者のすべてではないが、高齢者中心に優雅な老後生活を送っている人たちは結構多い。

 そういった余裕層の消費意欲を受けて、旅行会社はビジネスクラスを利用した海外ツアーとか、ゆったりとして豪華な国内旅行の企画を次々と発表している。 予約状況はすこぶる好調で、すぐ申し込み満了となるそうだ。

 この分野では、経済状況お構いなしで余裕ある高齢層の消費が動き、それが企業活動を活発化させる好循環をつくり出している。 別に、政府が成長戦略を打ち出したとか、予算を投入したからではない。 初めから終わりまで純粋に民主体の経済活動活性化だ。

 実は、それが経済活動の原点である。 国だとか政府とかが音頭とって経済を動かそうなんてのは、二の次三の次の政策テーマに過ぎない。 要は、如何にして個人マネーを消費などで経済の現場に流れ込ますかだ。

 個人マネーを動かすには、余裕資金を消費や寄付などに向けさすだけではない。 お金を預貯金のまま抱え込んでいると、インフレに対応できず損してしまうよといった雰囲気が高まってくるのも、人々の心に大きく響くものがある。

 そこでだ、こんなアイデアはどうだろう。 どうせ政府や日銀がデフレ脱却と2%の物価上昇を公約しているのだから、返す刀で ”このまま年0.02%の預貯金に寝かせておいては財産を目減りさせてしまうよ” といったネガティブキャンペーンを打ち出すのだ。

 ネガティブキャンペーンというと聞こえが悪いなら、こう言おうではないか。 ”政府も日銀も2%台の物価上昇を本気で実現させますよ、国民の皆さんもそうなった時の対策を考えておいてください” と。 これなら、政府としても国民のことを考えての誠意ある政策発言である。

 対策としては、いずれ物価が上がるのだから消費予定のものは早めに買っておこう。 そして、2%の物価上昇に耐えられる資産形成として、本格的な長期投資を早めに始めよう。 その二つでいい。

 これらのどちらもが、日本経済の活性化に大きな貢献となる。 政府の政策よりもはるかに強力な効果が出るのは間違いない。