預貯金あるあると思っているが、、、、

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 日本の家計貯蓄率は、0%近くにまで下がってきている。 かつて、1975年には23%をつけ、バブル崩壊時でも15%を誇っていたものが、その後どんどん下がりだして間もなくマイナス圏に入ろうとしているのだ。

 先進国はどこも7%から8%を維持しており、あの消費大国アメリカでさえ最近は5%前後にまで貯蓄率を高めている。 日本は突出して低い水準となっているわけだ。

 貯蓄率とは家計所得から税金や社会保障費を差し引いたもの、つまり可処分所得に対する貯蓄に回す分の比率である。 それが、0%とかマイナスに入るとなると、貯蓄の食いつぶしが始まるということになる。 あるいは、生活水準を切り下げて預貯金を後生大事に抱えるかだ。

 これまでは個人金融資産や預貯金残高は積み上がる一途だった。 それは、家計貯蓄率がずっと大きなプラスだったからだ。 ところが、いよいよマイナス圏に入っていくということは、あるあるといってきた個人金融資産や預貯金残高がこれから急激に減っていくことを意味する。

 残念ながら、この傾向はちょっとやそっとでは止められない。 なにしろ可処分所得はずっと低下傾向にあり、日本経済がよほど成長力を高めない限り、これからも減っていくことになるのだから。 ちょっと、みてみよう。

 先ず家計所得だが、大まかにいうと給与収入やボーナス、年金の受け取り額、そして預貯金の利子収入を合計したものである。 平均的な家計の給与やボーナスなどの年間収入は、日本経済の低迷もあってじわじわと下がってきている。

 年金の受け取り額は団塊世代が年金生活に入るから、家計所得ベースでみると一時的には増加する。 しかし、年金財政の悪化がずっと続いているところへ年金給付額の急増は、将来の年金支払い原資の食いつぶしに直結する。 つまり、長期的には家計所得における年金受取額が減っていくことになる。

 次に預貯金からの利子収入だが、超低金利政策による年0.02%前後の利子ではお話にならない。 通常の金利水準であれば、3%から4%の利子は期待できるから、家計は791兆円の預貯金で年間に23兆円から31兆円の利子収入を得る。 それが、0.02%では1582億円でしかないのだ。

 一方、税金や社会保障費はこれからもどんどん増加していくことになる。 国の財政状況や借金残高をみれば、消費税も8%や10%に引き上げたところで間に合いそうにない。 いずれは欧米先進国並みの17%とか20数%といった水準にまで行ってしまうのだろう。

 そうなると、家計所得が減っていく方向にあるのに、税金や社会保障費は高くなるのだから、可処分所得は相当なスピードで減っていかざるを得ない。 やはり、預貯金残高は急減の方向にあると考えるしかないだろう。

 だからこそ、長期投資なのだ。 預貯金マネーを長期投資にまわせば、日本経済は元気になるし給与収入も増える。 また財産づくりも進むから、貯蓄の食いつぶしや生活水準の低下など恐れることもなくなる。