金価格の下落

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 2011年の8月には1オンス1920ドルをつけ、このまま2000ドルを突破するのではないかといった勢いにあった金価格が大崩となっている。 とりわけ、4月に入ってからの下げピッチは急で、昨日は1200ドルを割り込んでしまった。

 この背景には、世界の余剰マネーが信用リスク不安から金投資に押し寄せていたものが、米国の景気回復や日本株の復調を買う方向にシフトしている面が強い。 そこを逃さず、世界の投機マネーが暴れまくっているというところだろう。

 世界の投機マネーは動きが本当に早い。 上がると思えばどんどん買ってくるし、下げと見るや何の未練もなく売ってくる。 その中でも思惑を張る連中は、マクロ経済から市場の需給関係そして世界のホットマネーの動向などを読みながら、大きな資金を買うなり売るなりダイナミックに動かしてくる。

 一方、マーケットの動きに機械対応してくるヘッジファンドなどは、相場の方向はどうでもいい。 上でも下でも、とにかく瞬発力よくかつ機敏に巨額資金を放り込んでくる。 激しく買いや売りを繰り返しながら、個々のディールで損が出ようとお構いなしに、トータルの値ざやを稼いでいく。 いってみれば、マーケットの価格変動をやたら大きく増幅してくれる連中である。

 そこで、金投資に対する世界のホットマネーや一般投資家の思惑だが、しばらくは弱含みが続くと読むのではなかろうか。 ヨーロッパの金融不安問題は小康状態にあり、一方で米国の景気回復基調と日本経済の立ち直り期待が大きくなっている。 世界のマネーがリスク回避よりもリスクテイクを選好しやすい、ここしばらく見られなかった好環境にあるわけだ。

 もともと金は投資対象にすべきではない、絶対的な安心感を買おうという考えを持っている。 金価格は上に書いたように、世界のマネーの動き次第で上がったり下がったりする相対的なもの。

 しかし、金がもっている絶対的な交換価値は、どの時代でも変わることはない。 どんなにひどい状況下でも、金製品や地金を差し出せば、いくばくかの現金やパンと交換できる。 非常時に絶対的な交換価値を発揮できるというのは、金を置いて他にはない。

 その意味でも、そろそろ金の地金を買い始めるのも面白い。 金はいつでも1オンス何ドルの国際価格で取引されるから、 どこかで円高に振れたら最高である。

 まあ、長期視野の資産形成という観点からは株式投資がダントツの一番であろう。 株式は一般的な投資商品と同様に金利裁定という面にプラスして、企業の利益向上という投資価値の高まりが期待できる。 その分だけ期待リターンも大きくなる。

 したがって、財産づくりの柱は長期の株式投資とし、いざという時の安心感で金の地金を購入しておこう。