米国の金融緩和

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 米国の中央銀行にあたる FRB のバーナンキ議長が超金融緩和の出口戦略を模索しているとのことで、株価をはじめとして金融マーケットに動揺が走っている。 2週間前の日本株市場の暴落も、その懸念が引き金の一つとなった。

 そのあたりを、ちょっと整理してみようか。 結論からいくと、なにも慌てることはない、長期投資ではむしろ絶好の買い場だということだろう。

 そもそも米国の超金融緩和と未曾有といわれる資金供給は、株価や住宅価格を高めて資産効果を誘引するのが一番の目的である。 資産効果が出てくれば、経済活動全般にリスクを取る動きが高まる。 それが景気を浮上させるはずという政策意図がある。

 したがって、超金融緩和の出口戦略といっても、株価や住宅価格を叩き潰すようでは本末転倒である。 むしろ、株価上昇や住宅価格の堅調さを保ちながら、ダバダバに緩めた金融をゆっくりとしぼっていき、お金が暴れだすのを未然に防いでいこうとしているのだろう。

 そこには、景気回復基調の持続性を保ちながらも、グリーンスパン前議長が陥った金融バブルにはつなげまいとする、バーナンキ議長の政策意図が読める。 当時、サブプライムローン問題などどんどん危険域に入っていったが、ブレーキを掛けられないまま金融バブルに突入していった。 その愚は絶対に繰り返さないということだ。

 もちろん、これだけジャブジャブに資金をばらまいた後の始末を少しずつ始めるわけだから、バーナンキ議長としても微妙な政策の綱渡りを続けることになろう。 なにしろ、ひとつ間違えるとインフレ突入もありだから。

 ともあれ、景気低迷やデフレ突入は絶対に避けなければは大前提である。 その上で、丁寧に景気浮上を図ってくれようとしているのだから、長期投資家としても思い切った買いで応援したいものだ。