大きな方向感とヘッジファンド

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 先週後半から株式市場は荒れ模様に転じた。 木曜日には平均株価で1100円を超す暴落症状を見せたし、翌日の金曜には大きく戻した後の売りで1000円幅の乱高下となった。 さて、週明けの今日からはどんな展開となるのだろうか。

 はっきりしているのは、ここまでの大幅な上昇相場のスピード調整が、どこかであって当然だったこと。 そのタイミングを狙っていたヘッジファンドなど目先筋が、待ったましたの売り崩しをかけたことだ。 それで、強烈な下落となったり、翌日の反発そして反落の乱高下となったわけだ。

 報道などで識者たちが下げの理由をいろいろ並べているが、そんなもの株価の上昇過程でも内在していたではないか。 別に目新しいものは何もない。 いつの上昇相場でも、あるいは暴落相場でも、直接のきっかけなんてないと断言していい。 

 売りが枯れていれば、何かの加減でちょっと買いが入るだけで株価は上がる。 それを見て、買いがどんどん集まれば上昇相場が始まる。 そもそも株価上昇の機が熟していたからだ。

 暴落はその逆だ。 急ピッチで株価上昇が続けば、投資家の間で高所恐怖症みたいなものが出てくる。 上昇相場が続くのは歓迎だが、誰かが売り始めたら後れを取りたくないといった、利益確定意識と下げへの不安が強まっている時など、ちょっとしたことで大きく下げることになる。

 今回の暴落相場も、半年で70%も株価全般が上昇しているのだ。 われわれ長期投資家のように、これまでが売られすぎだった、70%上がったところでどうってことないよと、ゆったり構えられるのはごく少数派。 長期的な方向は上だから、安いところあれば選別買いの好機と手ぐすね引いて待っていられる。

 一方、ほとんどの投資家は相場動向にどう対応するかで汲々している。 先週の下げには、かなり困惑しているのが現状だろう。 ヘッジファンドなどからみると、そういった相場を追いかけるだけの投資家が右往左往してくれると、好き放題に暴れられる。

 ヘッジファンドなどが一番嫌がるのは、どしっとした投資家の存在である。 その最たるものが長期投資家である。 さて、これから力関係がどう動くか大いに見ものである。

 とはいえ、個々の企業に絞ってみれば、すっきり考えられる。 将来の成長に向かってぐいぐいと進んでいる企業を応援していく長期投資には、相場に振り回される要素はない。 安ければ、応援買いするだけのこと。