成熟経済での活力とは

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 この5か月間で、日本経済の雰囲気はずいぶん明るくなった。 世を挙げてアベノミクスを囃しているものの、まだこれといって大した実績が出てきているわけではない。 それでも、良くなりそうだという期待感が日増しに強まっており、それが株価上昇や消費の一部で盛り上がりとなっているのだ。

 大事なヒントだろう。 たしかに、自民党末期から民主党政権までの6年ほどが、あまりにひどすぎた。 もっといえば、バブルに突入していった1980年代半ばから、日本の政治は将来方向を指し示すことなく、その場しのぎの問題先送り政策に終始している。

 日本経済という海図を持たない巨大な船が、入れ代わり立ち代わり登場した無為無策の船長たちによって漂流するがままとなってきた。 その間に、日本のバブル崩壊や世界の金融バブルが破裂するといった大時化に見舞われた。 その結果が、こんなだらしない経済となっているのだ。

 いま安倍政権がデフレ克服と経済活性化を至上命題としているが、どんな日本にしていこうとしているのかは、いまいちはっきりしない。 もちろん、官僚の作文程度の将来像は打ち出している。 しかし、われわれ国民の生活はどんな姿になっていくのか、さっぱりイメージがつかないのではなかろうか。

 そこで、上のヒントが重要になってくる。 もうどうにもならなかった民主党政権が終わり、少しはましな経済政策を打ち出してくれるのではといった期待感と、それを先取りしようという動きが日本経済を先導しだしているのだ。 

 最初に反応したのは株式市場である。 最悪状態から少しはましになるのなら、ちょっと買っておこうかという動きが瞬時に出てきた。 その変化を目敏く見つけて、どどどっと買ってきたのがヘッジファンドなど外国人投資家である。 株式市場はあっという間に活気を取り戻した。

 株価上昇が人々の心理を明るくさせ、また資産効果が消費や企業活動を上向かすといった景気回復効果をもたらしている。 この間、国の予算はほとんど投入されていない。 いってみれば、民間が勝手に動いただけで、経済の現場でかくも明るさが出てきているわけだ。

 ここのところを、われわれ一人ひとりがしっかり認識したいもの。 どこまで良くなってくれるか知れない政治を待つのではなく、われわれ一般生活者が預貯金に寝かせてある資金を株式投資にまわす。 その時、生活者それぞれが思い描く将来像に向かって経営してくれている企業を選ぶだけで、国の予算に代わる民間版の景気対策として、応援資金の振り向け先をわれわれが決定できるわけだ。

 われわれ生活者が将来の方向を決定できるとなれば、一人ひとりが自分そして子供や孫たちの将来の生活に対して、いろいろな夢や思いを織り込むことになる。 もちろん責任意識も高まる。 これが、自助意識の高い自立した経済社会の建設ではなかろうか。

 まさに、長期投資の先に広がる世界である。

 木曜と金曜日は朝の予定が詰まっており、もしかするとブログお休みとなります。