いい感じの株高

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 各国の株式市場がいい感じで上値を追いはじめている。 どこも、そんなに株価が上がる要因はないのにと、最近の株価上昇に半信半疑までも行っていない投資家が圧倒的に多い。

 結構なことである。 大多数の投資家が強気になれない中を、株価だけがするすると上がっていく相場は、意外と大きな上昇相場に発展することが多い。 理由は簡単で、みなが出遅れているから後になればなるほど、痺れを切らした買いが入ってくることになる。 出遅れ買いが上昇相場を押し上げていくわけだ。

 まあ、相場の読みはこのくらいにしておこう。 相場なんて、どこでどう転がっていくか神のみぞ知るの世界なんだから。 ここへ来ての買い意欲の高まりも、なにかの加減で瞬時に冷え込むなんてこともよくあるケース。

 それよりも、米国経済が面白い。 前にも書いたように、米国の超金融緩和と政策金利ゼロは必ず効いてくる。 よくいわれる銀行救済や住宅不況対策の域を超えて、経済の現場で前向きの動きやリスクをとる行動を誘発する。 現に、その兆候があちこちで表面化してきているではないか。

 一方、日本の場合は1993年からもう19年も超低金利政策を実施している。 また、1992年から年平均19兆6000億円の景気対策予算を投入してきた。 それでも、経済活動はさっぱり動いてこない。 ただ、国債発行残高と国の借金が巨額に膨れ上がっただけだ。

 どうしてか? これも繰り返し書いてきているように、日本での超低金利政策は家計を痛めつけるだけで、経済活動の活発化につながらないからだ。 なにしろ、経済規模の1.7倍の個人マネーが預貯金に寝ているのだ。 普通なら3%から4%の金利がつくから、家計は預貯金で25兆円から31兆円くらいの利子収入を期待できる。 それが、0.02%の金利では1600億円の利子収入にしかならない。

 これでは、消費は高まらない。 もちろん、銀行など金融機関が超低金利の預貯金などで集めた資金を企業融資にまわせば、経済活性化効果は出てくる。 ところが、企業の資金需要が低いからと資金の多くが国債購入に回ってしまっている。 

 そう、日本の超低金利政策は家計を痛めつける以外では、ただムダ金をばら撒いては国債の増発につながっているだけなのだ。 一部の既得権益層には好いかもしれないが、国民全体ではたまったものではない。

 その点、最近の株価上昇はまったく別の意味で歓迎である。 いつの株価上昇も心理効果と資産効果を生み出し、それが消費や企業の投資を活発化させることになる。 また、株価上昇が人々や企業に前向きの経済活動やリスクをとる行動を促がす効果も出てくる。 それがまわりまわって、超低金利政策で散々痛みつけられたきた家計にも潤いがもたらされる。

 そんなわけで、この株価上昇トレンドは大事にしたいものだ。

 

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