法人税を下げる

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 今朝の日経新聞では、英国のオズボーン財務相は2014年から英国の法人税を21%に引き下げると表明したとのこと。 報道では、昨年の法人税28%を今年の4月からは24%に引き下げ、それをさらに21%にまで持っていくというのだ。

 米国は40%の法人税を、 OECD 平均の27%前後にまで引き下げる準備をしているといわれている。 そうなると、フランスの法人税33%や、ドイツの29%は相対的に高い水準となってしまう。

 ひるがえって日本は、2011年度の改正で法人税を40.69%から35.64%に引き下げることを決めたが、5%の減税は震災復興増税で帳消しとなった。 実質的には世界で最高水準の法人税率である。

 いくら国の財政状況が先進国最悪といっても、この法人税率で企業にグローバル競争を勝ち抜けはないだろう。 OECD の平均に対して14%も高い法人税率は、それだけ日本企業の国際競争力を削ぎ落としているのだ。 その現実を見ずにして、製造業の空洞化問題や雇用が減っていると騒いでも、それは本末転倒であろう。

 よく日本では、二言目には企業優遇とか金持ち優遇とかで、問答無用の悪いことだと断じられてしまう。 たしかに、金融バブルで表面化した米国の投資銀行などの強欲ぶりは、経済にも社会にも大きな弊害をもたらした。 連中の強欲は許されるものではない。

 しかし、いつの時代でも進取の精神でリスクを取って富を想像していくのは、事業家と投資家のみである。 彼らを突き動かすのは、新しいものを創っていこうとする事業意欲であって、その成果に見合う報酬はあって当たり前だろう。 それを、金持ち優遇とかで頭から否定してしまっては、彼らはアホらしくてやっておれなくなる。 つまり、経済全般に元気を失ってしまう。

 そもそも、事業家や投資家がリスクを取って積極的に富を想像していくからこそ、雇用が創出され多くの人々の生活が成り立つのだ。 自分達に仕事を作ってくれている人々を、ただ単純に儲けるのはけしからんといっていて、一体なにが得られるというのか。

 先ずは大幅な所得減税と法人税率の引き下げで経済のパイを大きくしてやり、日本経済を活性化させることだ。 そうしてやれば、新しい産業も雇用も生まれるし、国の税収も増えて財政赤字も改善に向かう。 成熟経済の運営で、規制緩和と減税は二大主柱なのだ。

 いま米国で富裕層への増税が論議されているはず? もともとがブッシュ減税で大幅に引き下げられていたものを、ちょっと修正するだけのこと。  米政権が経済の活力を削ぎ落とすほどの増税をすることはないだろう。

 

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