海外買収

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 日本の携帯大手が、米国携帯の第3位を買収する報道が話題を集めている。 その件に関してはノーコメントとしても、ここ2年ほどの間に、日本企業による海外企業や資源権益の買収がどんどん加速している。

 これは、いい傾向である。 これだけの円高だ、そして最近の世界経済減速もあって、海外を買収するには最高の環境となっている。 このチャンスを逃がすことはない。

 もうひとつ利点を挙げると、金融バブル崩壊で海外の銀行の与信余力が落ちている一方、国内の銀行は超低金利下でかつ貸出先に悩んでいる。 どちらも、日本企業は海外の競合相手に対し資金調達力の面でも、買収交渉を有利に進める条件となっている。

 世界経済のグローバル化はさらに進むし、新興国はじめ世界の成長意欲はとどまるところを知らない。 この機会に海外への資本出資を拡大するのは、企業にとっては将来成長の足がかりを強化する大きな一手となる。 もちろん、この円高を活用して海外投資勘定を増やすのは、国益にもプラスである。

 実は、企業の海外買収が加速すればするほど、国の円安誘導の為替介入と同じ効果が得られるのだ。 それも、世界中の誰からも文句が出てこない、むしろ大いに歓迎される円売りドル買いとなる。 国の円安介入は各国の思惑もあって、猛反対を受けるのがオチ。

 しかし、企業が海外資産を購入するため円売りドル買いをするのは純粋な経済行為である。 まして、いまは売り物が出やすい環境にあって、買い主が登場してくるのは大歓迎である。 企業がどんどん海外投資をすることで、結果的に円安に向かってくれれば、国内のデフレ解消の一助ともなる。

 本当は、資源小国の日本だから、せっかくの円高を活用して国が積極的に海外資源確保に踏み切るべきである。 日銀から50兆円とか100兆円を借り入れて、海外の資源権益をできるだけ大量に取得してしまうのだ。 それでもって、為替介入ではない円安誘導ができるし、買収資金をドル転する段階で大量の円を国内放出する資金供給効果も出てくる。

 円高なら円高なりに、やれることをやっておくべしだろう。 そういった合理的な行動が後で効いてくる。

 

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