綱引きの勝負

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 いま必死になって新しい著作に取り組んでいるが、書いている間につらつら思ったのが、これは壮大な綱引きだなということ。 何のことかピンとは来ないでしょう。 もう1行か2行先まで読んでもらえると、ああそのことかと納得してもらえるだろう。

 日本経済が抱える問題は山ほどある。 それらのどれもが大きな火薬庫のような存在となっていて、火がどんどん近づいてきている。 ひとつがドカーンといったら、爆発は他の火薬庫に連鎖するのは必至。 経済はじめ社会が大混乱に陥るの間違いない。

 それに対し、政治は問題の先送りばかりで抜本的な改革にメスを入れようともしない。 税収と国債の発行額が拮抗するほどに酷くなっている財政赤字、1000兆円を超えようとしている国の借金、国内総生産の2倍近くまで膨れ上がっている国債発行残高、未納比率が40%を超えるなど悪化の一途をたどっている年金財政、と数え上げれば切りなく出てくる。

 これらの問題には痛みを伴おうとなんだろうと、一刻も早く解消の道筋を立てて実行に移す必要がある。 そうしないと、どこかで爆発してしまう。 爆発してからでは、もう痛みどころではなくなる。 さて、日本の政治にどこまで骨のある改革を断行できるのか、そこが別の問題である。

 もし、政治が何もできないまま時間を空費していると、えらい目にあうのは国民である。 いざそうなってからも、やはり国は頼りにできそうにない。 結局は、国民一人ひとりが自助の行動をせざるを得ない。 だったら、今のうちから行動に移った方が賢いだろう。

 たとえば、790兆円の預貯金残高も大混乱に陥ってからは、どうなるか分からない。 平常どおり引き出せるのか、はたまたインフレの火が燃え上がって預貯金の価値を下げてしまうのか? 

 だったら、いまのうちに預貯金の一部でも引き出して、長期の株式投資にまわしておこう。 とにかく、いろいろな混乱とは別の世界というか空間に財産を置いておくことだ。

 いつも書いているように、世の中になにが起こっても人々の生活はなくならないし、それを支える企業のビジネス活動は一時たりとも止まらない。 株を買っておけば、なにあがあっても消えてなくならない経済活動の中に、虎の子の財産を置いておくことになる。

 たまさか株価は長期低迷したままで、ここで株式投資に踏み切るのは二の足を踏む人々がほとんど。 ましてや、人生この方預貯金しかやってこなかった人達は、長期の株式投資といっても遠い世界の話としか映らない。 それでも、ここでなにか行動しておかなければならないということだけは、みなウスウスと感じているはず。

 わかる? いろいろな綱引きがわれわれの目の前にぶら下がっているのだ。 まあ、そのときが来ようと来まいと、自助の行動をしていた人と、なにもしなかった人との違いは出てしまうということだ。

 

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