米国と日本の違い

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 世界最大の経済大国アメリカと、その3分の1規模ではあるが第3位の経済大国である日本とでは、お金の流れ方に大きな違いがある。 米国では直接金融が発達していて、いわゆるリスクマネーの働きが活発である。

 金融バブル崩壊で、米国の金融界はヨーロッパの銀行と並んで大きな痛手を受けた。 それでも、なんとか自分だけでも立ち直ろうという意欲は、あちこちでみられる。 国の政策に頼り切りなどといった、脱落者の道は選ぶまいとする自助復活の事業家精神だ。

 そのひとつに、みなが大やられしている時ほどチャンスとばかり、敢えてリスクを取ろうとする動きも目立ってきている。 そういったリスクテイク案件に、資金を出そうじゃないかという投資家層も分厚いものがある。 みながみな縮こまっているわけではない。

 一方、日本では国内資金のほとんどが金融機関の手に吸い込まれていっている。 そこから先は、金融機関の判断にゆだねるわけだ。 これを間接金融といって、お金の流れが銀行や保険会社など金融機関のコントロール下に置かれる。 銀行などが今は安全志向でいこうと判断すれば、企業融資は抑え国債購入を拡大することになる。

 もとのお金の出してである個人や家計が、ちょっと国債投資にのめり込み過ぎだと思っても、銀行の国債購入にブレーキをかけることはできない。 なんとも皮肉なことに、中小企業に対する融資はどんどん削減されて、企業倒産による雇用不安が高まっていることだ。 そんなことなら、銀行など金融機関にお金を預ける代わりに、その一部でも直接に中小企業の資金繰りを手伝ってあげれば、よっぽどいいのに。

 こういった、お金の流れがさっぱり出てこない。 それが、日本経済ジリ貧の大きな要因となっているのだ。 個人の預貯金マネーが日本経済の1.6倍もあるというのに、その資金が経済活動の現場へ積極的に流れ込んでいかない。 ほとんどが、いま資金を必要としている中小企業に対してではなく、それほど資金需要のない大企業への融資や国債購入に回されているのだ。

 なんとかしようと思えば、何とでもなる。 なにしろ、もとは個人個人のお金だ。 個人それぞれが、自分のお金を自分の意思で経済活動活発化に向けて、どんどんまわしやることだ。 お金をつかうと減ってしまうと、短絡的に考えるなかれ。 経済は妙なもので、お金をつかえばつかうほど殖えて戻ってくるもの。 逆に、抱え込んだら経済はどんどんジリ貧となっていく。

 お金をつかえといっても、やっぱり減らしたくないと思うのも人情。 それなら、なにか意義あることにお金を出して、満足感だけでも手に入れようか。 その感覚からはじめて、お金をつかう充実感を味わいながら、徐々にお金の出し方を広げていってやろう。

 この流れを高めていけば、その先には直接金融に支えられた日本経済の活性化という新しい姿が見えてくる。 そこでは、堂々たるリスクマネーの提供者が、日本経済の表舞台に続々と登場することになる。

 

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