運用成績の出し方

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 世の中で運用成績といわれているもののほとんどは、資金運用の成果を指している。 われわれ長期投資家が狙う運用成績とは、根本的に違う。 ここのところが一緒くたにされがちである。

 日本における長期投資のパイオニアを自負するさわかみ投信においても、時折スタッフの間で混同したりする。 まあ、彼らの名誉のために一言つけ加えると、お客様からの電話などで一般的な投資運用の成績ベースに質問を受けることが多い。 それらにお答えしているうちに、彼らもさわかみの運用と一般的なものとの違いを強く主張できなくなる。

 その典型例は、年間の成績比較だろう。 年間の成績では、うちも他もそう変わらないではないか、時にはやや負けているではないかと言われると、たしかにそうですねと応えるしかない。

 あるいは、平均株価と一緒の動きをしているから、それだったらインデックスファンドを購入した方が、信託報酬から見てましではないかと指摘されることもある。

 一般的な機関投資家運用のほとんどは、毎年の成績を強く意識する資金運用タイプである。 1年間の運用で、如何にリスクをコントロールしながら成績を積み上げるかに、各運用者は全力を挙げる。 一方、われわれ長期投資家は敢えてリスクを取りにいく本格的な投資運用を専らとする。 いつも10年ぐらいの時間軸で、仕込むときはひたすら買い一方で、当面の成績もたつきには目をつむる。 ちょうど、この4年半がそうだった。

 そういったタイミングで、年間の成績評価をすると、さわかみファンドも他の運用会社も成績は変わらないではないかといわれることになる。 本当は、それだけでも大変に立派なことなのだが。 なにしろ、こちらは下げ相場を逃げずにバーゲンハンティングを続けている。 それでも資金運用タイプと同じぐらいの成績にあるのだから。

 それで、長期投資の成績? ふたつ言えよう。 たとえばさわかみファンドは設定来12年と5ヶ月になるが、基準価額はずっと平均株価を上回っており、その差は60%ほど開いている。 2007年の7月には84%強に開いていたから、最近はちょっとダラシナイかも。 しかし、次の上昇局面では100%以上の開きにまで行ってしまうことも十分にあり得る。 そのぐらい強烈な買い仕込みをしてきているのだから。

 もうひとつは、2001年から2004年の前半まで、猛烈な買い仕込みをしていた。 その成果が、2007年の7月にかけての基準価額2万円乗せである。 毎年の資金運用タイプを大きく引き離してしまった。 これが、本格的な投資運用である。 

 さあ、この4年半の買い仕込が今後どれだけの実りをもたらしてくれるか、大いに楽しみである。

 

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 本を出しました。今回は電子書籍版として、スッと読めるボリュームに抑えました。 さわかみ投信現社長の黒島の本も合せてご紹介します。

 澤上篤人「お金をまわして日本を元気にさせよう」
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 黒島光昭「特許物語」
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