政治と経済の再生

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 いまほど政治家の資質が試されている時は、滅多にないだろう。 とりわけ、日本の将来に責任を持とうという気概のある政治家にとっては勝負のときだ。

 とにかく現状維持で、痛みを伴う改革は先延ばしにしようとする、大衆迎合的な政治に流れやすいのは民主主義の欠陥である。 その弊害が日本の社会や経済をどれだけ蝕んでいることか。 このままでは拙いと、日本人の多くは思っている。 それでも、きちんと将来ビジョンを打ち出した大改革を打ち出そうとしない。 選挙のことしか念頭にない既存政党の限界である。

 真に政治嗅覚のある政治家であれば、ここは一番まっとうな政策を掲げて国民に訴えることで、どれだけ多くの支持を集められるかぐらい簡単に判断できるはず。 旧来型の利益誘導政治では日本経済がどんどんダメになっていくと、国民のほとんどが感じている。 日本をこう変えていくんだと明確な方向を打ち出し、断固として改革を遂行するぞといった強い意思が、これほど望まれているときはない。

 もう大阪はじめ地方では、新しい政治を求める動きが顕在化してきている。 国政のレベルでも、既存政党の限界から飛び出した政治家が次々と躍り出てきてもいいはず。

 政治が真正面から取り組まなければならないことは山ほどある。 なかでも経済の抜本的な改革は急務である。 少子高齢化の進展で、消費税は現行の5%を2段階で10%にまで引き上げたとしても、まだ足らない。 おそらく15%にまでは、早い段階で引き上げざるを得ないだろう。 それだけ国民の負担も大きくなるから、どうしても経済を活性化させて国民の所得収入が増えるよう手立てを講じる必要がある。つまり、成長戦略だ。

 そうなってくると、経済の分かる政治家が出てきてくれないと話にならない。 それも、成熟経済の運営で力を発揮できる政治家が。 これはちょっと悩ましい課題である。 なにしろ、成熟経済では先輩にあたる欧州や米国でも経済運営に苦しんでいるのだから。

 とはいえ、日本には欧米にない武器もある。 個人の預貯金マネーが日本経済の1.6倍もあるのだ。 それをどう活用するかで、欧米がうらやむほどの経済活性化ができる。 想像力たくましく創造性にあふれた政治家が出てきてくれれば、面白いことになる。

  

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