不安の本質?

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 よく、この先どうなるだろうかといった不安が頭をよぎることがある。 そういった場合の多くは、ある程度の覚悟はあるものの、実際に起こって欲しくない心理を反映している。

 まったくの突然に予想外の事態に遭遇したら、不安もなにもない。 そのままパニックに陥って、大混乱の中を右往左往しながら逃げ惑うことになる。

 そこで不安に戻るが、いま世界経済で一番の不安となっているのが、ユーロ問題だろう。 ユーロ危機とかいろいろ騒がれているが、できれば起こって欲しくないことは、なんだろうか?

 ギリシヤでもイタリアでも債務の借り換えが無事に進まないと、デフォルト(債務不履行)といった事態に追い込まれる。 そうなっては絶対に困る。 なぜなら、ヨーロッパ各国や米国の銀行は現に大量保有している既発のギリシヤやイタリアの国債とかデリバティブ商品を投売りしなければならなくなる。 最近のイタリア国債の利回り7%超えは、もう既に一部で投売りの兆候が出てきているともいえる。

 なんとか、全面的な投売りといった事態は避けたいというのが、ヨーロッパ各国や先進国の金融機関および政府の願いである。 そこまでいってしまうと、保有債券の叩き売りで銀行などが大幅な損失計上、ひいては資本不足に追い込まれるのは時間の問題。 それは、金融不安や信用不安に広がって、経済や社会に大混乱をもたらしかねないと考えるからだ。

 日本のバブル崩壊時もそうだったが、最悪の事態だけは避けようとずるずる時間稼ぎをしていても、結局のところなんの解決にならない。 その間に政府の財政赤字はどんどん膨れ上がっていくし、経済活動はモタモタするだけだ。

 ちょっと荒っぽく聞こえるかもしれないが、値崩れを防ごうとイタリア国債などを買い支えて財政負担をズルズルと拡大させるるよりも、公的資金を銀行に直接注入して保有債権を償却させてしまった方が早い。 保有債券のかなりの部分を償却してしまえば、デリバティブ商品などもほぐれだすので、全面的な叩き売りに陥る懸念もなくなる。

 もちろん、銀行は公的資金の注入は嫌がる。 しかし、金融バブルを引き起こした責任はもっともっと重い。 そのぐらいの自覚は持ってもらわないと、自由経済あるいは市場経済は成り立たない。

 

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