日本の政治には明確な方向を国民に示すという考えがない。　官僚の答弁のような当たり障りのない表現で、揚げ足を取られないようにと汲汲している。

　そんなどっちつかずをみていると、政治家に確固とした哲学や理念あるいは胆力がないのかと思いたくもなる。　民主主義の日本だから、議論を尽くし合議を求めなければならない？　そう言いたいのかもしれないが、指導者は先ず大きな方向というものを指し示す必要がある。　その方向でもって、徹底的に議論を尽くせばよい。

　TPPへの参加だって、どんな方向で具体的な交渉を進めていくのかを、外交上の交渉に支障のない範囲で明確に語ることが重要である。　その方向で、農業にしても他の産業にしても今から準備を進めることができる。　

　農業であれば、これまでの絶対反対の立場から、今度は参加する前提で日本の農業をどう国際競争力をつけていくのかを模索していくことになる。　その指針としても、大きな方向は打ち出してもらわないと困る。

　これは経済運営においても同じこと。　ただ予算をばら撒くのではなく、戦略分野を明確に示して国民をそちらの方向へ引きずり込むような強引さがあってよい。　はっきりした方向性があれば、それを先取りしようとする動きが必ず出てくる。　このアニマルスピリットこそが、経済活動はどんどん活発化していくのだ。

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