電力問題と経済の現場

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震災直後から折に触れて日本の電力の構造問題を指摘してきた。

根本には電力独占体制と、

それに絡む政官民の癒着がもたらす弊害が原発問題や電力不足に露呈したと考えられる。

 

ここへきて、

ようやく日本の電力ビジネスを発電と送電を分離した形態に変えて競争原理を導入しなければといった、

本質論が新聞紙上でも真剣に語られるようになって来た。

欧米先進国では90年頃から次々と、発送電分離を主体とした電力自由化政策に踏み切っている。

ここまでは電力会社などの抵抗もあって、日本における発送電分離案はいつも失速していた。

 

いまや、電力独占体制を絶対に守るとかのんびり言ってはおれない状況になってきた。

経済活動の現場が政府や電力会社のもたもたに付合ってはおれないと、自助の動きを加速させているのだ。

 

たとえば、産業界はこの夏の電力不足を乗り切るのをはじめとして、

将来的にも自前の対応を急がなければならないと、はっきりした方向を打ち出してきている。

それはそのまま、日本全体でみると発電事業の自発的な分散に直結する。

工場などの自家発電能力はすでに40%まで達しているが、

その比率がここから急速に高まっていくのは間違いない。

 

自家発電や蓄電能力の向上に踏み込む流れは、

商業施設やオフィスビルそして一般家庭にも広がっていくのは、もう時間の問題である。

なにしろ、

膨大な新規需要が分散電源機器などの技術開発や低コスト化を促進するのは眼に見えているのだから。

 

経済の現場が先行する形で、日本の電力ビジネスに地殻変動をもたらすのだろう。

それは、60年ぶりに独占体制を打ち崩す根本的な変化となる。

もちろん、電力会社も自由化の流れに乗って堂々とビジネス拡大を狙えばよい。

 

出張もあり、ブログは来週までお休みとなります。