予算ありきの経済政策

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日本の経済政策は、まず予算を確保して、

それをどう政策実行に移していくかという流れにある。

根っこには、経済にしても何にしても、とにかく国が仕切っていくのだという根本哲学がある。

 

まだ日本全体が貧しく資金もなかった頃ならいざ知らす、

世界最大の債権国で民間に資本の蓄積が進んだいま、もっと経済政策の幅を広げても良いはず。

すぐ予算予算というのでなく、どうやって民間の資金を活用するかを考えるのだ。

 

被災地の復興でも、ただただ補正予算を組むことしか考えない。

もう既に巨額の国債発行残高を抱え込んでいるというのに、

さらに10兆円を上回る予算の原資を確保しなければならない。

さあどうするかで、時間はどんどん過ぎていく。

 

どうして預貯金を動かそうという発想が出てこないのだろうか。

たとえば、7年満期時に3%の利子とインフレ調整分を上乗せして、

全額償還する復興公債の発行を発表する。

そのうえで、首相なりが国民に向かって誠実にまた切実に、

復興公債の購入に協力してほしいと訴えればよいのだ。

 

いまだったら、国民の多くが被災地の人々のために何かできないかという気持ちで一杯である。

そこへ、被災地復興の債券購入で協力できるとなれば、きっと多くの国民の賛同を得られる。

何しろ、預貯金に寝かせておいても年0.02%ぐらいの利子しかつかないのだから、

7年満期の復興公債を購入して7年で3%プラスインフレ率の利回りとなれば、ずっとマシである。

 

国債発行も復興公債も国の借金が膨れ上がるだけ?

その通り。

大きな違いは、個人の預貯金に直接アプローチして7年定期の代わりに復興公債を発行する点だ。

一度この流れを作ると、個人マネーに対し ”貯蓄から投資へ” を促しながら、

日本経済の再生を図る直接金融の道が一気に広がる期待大なのだ。

そうなると、日本経済全体でみるに国の予算つまり国債依存は急激に減っていく。

 

その先には、

民間資金で民間が主体になって社会インフラを築いていく図式が見えてくるはずである。

なにもかも国がやらなければならないと決め付けるのではなく、

民間でやれることは民間の創意工夫で効率よくやって行ってよいはず。

経済なんてものは、人々の生活とそれを支える企業の生産供給活動で成り立っているのだから、

民間がもっともっと主体的に動いて住みやすい社会を築いていくのだ。